意味の世界

2020/02/11 Tue 20:50

 今日は私の尊敬する静岡大学特任教授の松田純先生が東京大学名誉教授の大井玄先生を呼んでくださり、学びの時に参加させていただけました。大井玄先生は認知症の方や看取りの方を多く診てこられた先生です。私はこの大井先生にぜひお会いしたいと松田先生におねだりしていました。大井先生は認知症の方の「意味の世界」を大切になさっていますが、松田先生から、実際のケアをする方の「認知症の方の話に合わせるために嘘をつく」という発言を教えていただきました。私も考えさせられる内容でした。

今日、ある方を看取りました。
最期の死亡診断の時、伺った私にご家族が私の顔を見るなり、私の胸に顔をうずめて泣かれました。
「本当の悲しみ」

大井先生と松田先生の話は続き、「傍に居る人」との本当の人間関係が大切とお聞きできました。
表層のおざなりの言葉ではなく、本当の関係…。
「本当の悲しみ…」

考えさせられる一日でした。

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あらたに光を求めつづける

2020/01/02 Thu 15:35

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

今年はお正月から病いの方の往診に伺いました。
なかにはかなり病状のすぐれない方もおられます。
いろいろ考え、感じながら車を運転して患者さんのお宅を巡りながら
車の中で若松英輔さんの講演を聴いていました。
何度も聴いていた講演ですが、ある個所がとても心に響きました。
それは神谷美恵子の
「病めるひとたちの問題は人間みんなの問題なのである。であるから私たちは、このひとたちひとりひとりとともに、たえずあらたに光を求めつづけるのみである。」という言葉をうけて
若松英輔さんは
「われわれが探さなくてはいけないものは光り輝くようなところにはないかもしれない。
もっと違ったところに隠れているんじゃないか…
人々から高い尊敬を受ける人が、高いところから語るところにあるのではなくて
誰も顧みない人が、一人部屋で呻いていることの中に、人生の真実があるのかもしれない。
われわれはそういう人に寄り添うのは時に難しいかもしれない
でも皆さんがそういう苦しみや悲しみに生きるときとても大事なことと直面しているんだ。」

「誰にも顧みられず、一人部屋で呻いているひと」
そこに本当の光を求めつづけていきたいです。

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 暮れも押し迫る日、ある高齢の女性をご自宅で看取りました。
ご高齢であられたので主に看病にあたられていたのはお孫さんご夫妻でした。
本当によく看病された…
長いお付き合いの間、私はお伺いするたびに、このお孫さんであるご夫妻に本当に大切なことを教えていただいていました。
しかし最期の時は来てしまいました。
私が最後の診察をする中、お孫さんご夫妻は悲しみにじっと耐えておられました。

人が人を大切にすることほど素敵なことはない。
しかし大切な人であればあるほど、最期の別れの悲しみは深い。

今年の9月に私が本当に尊敬する若松英輔先生にお会いできました。
その中で若松先生は「最も悲しいことは(目に)見えない」とおっしゃっておられました。

目には見えない最も悲しいこと、それを感じる心を持ちたいです。
私の来年への課題です。
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永久欠番

2019/11/10 Sun 20:53

 昨日、私が大変尊敬する高橋ひとみさん(Talkspaceというがんサロンを主宰されています)とご一緒に「グリーフケア」の集いを持つことができました。お集まりいただけた方々からのお話が、本当に私にはすべてが感動的で、「悲しみを負って生きている方」が、今、ここにいらっしゃると実感しました。
その時ちょっとお話しした中島みゆきの「永久欠番」という歌をご紹介します。
私も辛いとき、悲しいとき、よく聞く歌の一つです。

「永久欠番」 中島みゆき
どんな立場の人であろうと いつかはこの世におさらばをする
たしかに順序にルールはあるけど ルールには必ず反則もある
(中略)
100年前も100年後も 私がいないことでは同じ
同じことなのに 生きていたことが帳消しになるかと思えば淋しい
  
街は回ってゆく 人1人消えた日も  何も変わる様子もなく 忙しく忙しく先へと
かけがえのないものなどいないと風は吹く
(中略)
どんな記念碑(メモリアル)も 雨風にけずられて崩れ
人は忘れられて 代わりなどいくらでもあるだろう
だれか思い出すだろうか  ここに生きてた私を

100億の人々が  忘れても 見捨てても
宇宙(そら)の掌の中  人は永久欠番
  
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人類連帯感

2019/10/13 Sun 09:52

 台風19号の接近する中、往診に呼ばれました。
病いの父親を本当によく娘さんが看病しておられました。訪問看護師さんが先に駆け付けてくださり、娘さんが涙を流す中、最期の時がありました。
「こんな辛いことがなぜあるんだろう…」
いつも自問自答する瞬間です。
「もうこのような仕事嫌だな~」と思っても続けているのはなぜだろう…。
懸命に看病する娘さん、いつも患者さんの傍にいて、本当に頑張っている訪問看護師さん…
この方々との連帯感を忘れたら、私がダメになってしまうと、心のどこかで感じているからでしょうか。

私の愛読書「生きがいについて」にこんな文章があります。

「人類連帯感」が、多くの危機的状況にあるひとの心に浮かびあがるのは、考えてみればふしぎなことである。
結局、人間の心は奥深いところで、ユングのいうような「集合的無意識」によってつながっているのであろうか。
人間が人間としての生存をおびやかされるような事態におかれるとき、
このつながりが意識の表面に浮かびあがって来てひとをしっかりと支えるのであろうか。
                                  (神谷美恵子著「生きがいについて」p195)
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