永遠
2023/03/15 Wed 20:55
バレンタインデーの日に、その診療は始まりました。
まずご主人様が、がん末期の奥様の紹介状を持って私の前に現れてくださいました。
紹介状を読むと厳しすぎる病状が…。
翌日、早速ご自宅にお伺いしました。
私よりも10歳以上年下で、なぜこの様な病いになってしまわれたのかと思いながらお話をお聴きしていました。弱音を吐いても何も不思議ではない病状なのに、その方は健気な笑顔を見せられ、「奇跡を信じています」と。
次の日曜日、急に病状が悪化され、雨の中、ご自宅へお伺いしました。診察をしながら、日曜日で外来診療がなく時間が取れたので、ゆっくりお話ができました。
その後、お伺いするたびに病状は悪化していき、ご自宅で酸素投与、医療用麻薬の投与と緩和ケアに務めながら、彼女のコトバをお聴きできました。
最期の日が訪れてしまいました。
3月になったばかり。
お伺いしても、もうお話ができない病状の中、声をかける私の後ろから、ご主人様が「奇跡を信じています」と。
その日の夜、ご自宅で、ご主人の深い悲しみの中、ご逝去されました。
私の好きな「永遠」(Mr.Children)をご紹介しましょう。
『空に残された白い飛行機雲 ふと自分が重なる
凄いスピードで逝ってしまう君に 必死で追い縋る』
「凄いスピードで逝ってしまう…」
がんの末期なので、この病状の悪化ぶりは、医師としては何度も診て来たのに…。
「なぜこの若さで、こんなに速く逝ってしまわなくてはならないの?」
答えのない問いが私の中で渦巻きます。
彼女とご主人がおっしゃられた「奇跡」は起こらなかった。
しかし、私の中で奇跡は起こった。
私の中での奇跡は…。
まずご主人様が、がん末期の奥様の紹介状を持って私の前に現れてくださいました。
紹介状を読むと厳しすぎる病状が…。
翌日、早速ご自宅にお伺いしました。
私よりも10歳以上年下で、なぜこの様な病いになってしまわれたのかと思いながらお話をお聴きしていました。弱音を吐いても何も不思議ではない病状なのに、その方は健気な笑顔を見せられ、「奇跡を信じています」と。
次の日曜日、急に病状が悪化され、雨の中、ご自宅へお伺いしました。診察をしながら、日曜日で外来診療がなく時間が取れたので、ゆっくりお話ができました。
その後、お伺いするたびに病状は悪化していき、ご自宅で酸素投与、医療用麻薬の投与と緩和ケアに務めながら、彼女のコトバをお聴きできました。
最期の日が訪れてしまいました。
3月になったばかり。
お伺いしても、もうお話ができない病状の中、声をかける私の後ろから、ご主人様が「奇跡を信じています」と。
その日の夜、ご自宅で、ご主人の深い悲しみの中、ご逝去されました。
私の好きな「永遠」(Mr.Children)をご紹介しましょう。
『空に残された白い飛行機雲 ふと自分が重なる
凄いスピードで逝ってしまう君に 必死で追い縋る』
「凄いスピードで逝ってしまう…」
がんの末期なので、この病状の悪化ぶりは、医師としては何度も診て来たのに…。
「なぜこの若さで、こんなに速く逝ってしまわなくてはならないの?」
答えのない問いが私の中で渦巻きます。
彼女とご主人がおっしゃられた「奇跡」は起こらなかった。
しかし、私の中で奇跡は起こった。
私の中での奇跡は…。
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