残る日々

2022/09/28 Wed 23:09

 台風15号の影響で、清水区に断水が発生しました。
たんぽぽ診療所のスタッフのお宅も、そして私の実家も妻の実家も断水しました。
皆様方の懸命な復旧作業で徐々に水道水の供給が再開されています。
本日、テレビのニュースで水道水供給の再開されたご家庭の方が
「これまで何とも思わなかった水が『いのちの水』に思えた」とおっしゃっていました。

私は透析患者さんに関わらせていただくことが多くありました。
ずっと主治医として診てきた患者さんが、腎移植のチャンスを得て、移植を受けられることもありました。
すると、何年間も出なかった尿が、移植した腎臓の働きで、尿が出てきます。
その尿を、ある患者さんが「トパーズ色の尿だ」とおっしゃられたのを忘れられません。

たんぽぽ診療所は普通の家庭医の診療所ですが、在宅診療で緩和ケアを行わせていただいています。
さまざまな病いで、もう生きる日の少なくなっていく方とそのご家族と共に歩んでいくことは
日々学ぶことが多いです。
特に私のように惰眠をむさぼっている者には、この最期が近づいている方と、
その方を喪う悲しみに耐えているご家族と触れ合えることは
「いのちの水」「トパーズ色の尿」の存在を感じさせて下さる機会です。

私が敬愛する神谷美恵子先生がこの世を去る最期にしたためられた詩に「残る日々」があります。

「残る日々」
ふしぎな病を与えられ
もう余り生きる日の少なきを知れば
人は一日一日を奇跡のように頂く
ありうべからざる生として


また患者さんのもとに向かいます。
未分類 | コメント(0)
 | HOME |