星の王子さま
2021/09/12 Sun 12:00
先日、私の大変尊敬する方を看取りました。
数年前、自ら医師であられた先生は、腎臓病が悪化し、透析が必要となったとき、「十分に生きた」と透析を拒否されました。
透析をすすめていた病院より私に連絡があり、「本来透析の適応ですが、ご本人が拒否されていますので、ご自宅での看取りも含めて在宅診療をお願いします」という内容でした。早速ご自宅へ在宅診療を開始しましたが、間もなくいよいよ病状が悪化した時、(私は普段このような個人的な気持ちは表わしませんがと前置きしして)「私は先生を大変尊敬しています。もっともっと、生き方を教えていただきたいので、透析を受けていただけないでしょうか」お伝えしました。先生は透析を受けるとおっしゃってくださり、病院の先生が数年間本当によく透析療法を行ってくださいました。しかし次第にお体が弱ってこられ、私の在宅診療を再開いたしました。(もう病状より透析ができなくなった)ある日、病院の先生から「透析に来ることができません。よろしくお願いします」と電話が入りました。すぐにご自宅にお伺いすると、先生は薄れゆく意識の中で私の「先生、遠藤です」という声掛けに微笑みながらうなずいてくださいました。
翌日未明、急変の電話が入り、再びご自宅へ急行する途中、車のラジオで柳田邦男先生(ノンフィクション作家)が「人は"物語"を生きている」のお話をしていました。その中で柳田先生が亡くなられたご長男から贈られたサン=テグジュペリの「星の王子さま」の話をしておられました。
内容は
星の王子さまが星に帰っていくときに「夜になったら星を眺めておくれよ。僕んちはとってもちっぽけだから、どこに僕の星があるのか君に見せるわけにはいかないんだ。だけどそのほうがいいよ。君は僕の星を星のうちのどれか一つだと思って眺めるからね。 すると君はどの星も眺めるのが好きになるよ。星がみんな君の友達になるわけさ。」と告げます。「星の王子さま」はサン=テグジュペリが奥さんに残していった遺言なんです。(戦争に行く前に奥様に遺した絵本だそうです。) 自分は帰ってこないかもしれない、戦争だからどこ行っちゃうかわからない、でも満天の星のすべてがいとおしく思えるように僕がどこかにいるから、しかも笑っているからという、遺言なんですね。
というものでした。
これを聴きながら先生のお看取りに向かいました。前日、先生が私の声掛けに微笑んでくださったのを思いながら…
数年前、自ら医師であられた先生は、腎臓病が悪化し、透析が必要となったとき、「十分に生きた」と透析を拒否されました。
透析をすすめていた病院より私に連絡があり、「本来透析の適応ですが、ご本人が拒否されていますので、ご自宅での看取りも含めて在宅診療をお願いします」という内容でした。早速ご自宅へ在宅診療を開始しましたが、間もなくいよいよ病状が悪化した時、(私は普段このような個人的な気持ちは表わしませんがと前置きしして)「私は先生を大変尊敬しています。もっともっと、生き方を教えていただきたいので、透析を受けていただけないでしょうか」お伝えしました。先生は透析を受けるとおっしゃってくださり、病院の先生が数年間本当によく透析療法を行ってくださいました。しかし次第にお体が弱ってこられ、私の在宅診療を再開いたしました。(もう病状より透析ができなくなった)ある日、病院の先生から「透析に来ることができません。よろしくお願いします」と電話が入りました。すぐにご自宅にお伺いすると、先生は薄れゆく意識の中で私の「先生、遠藤です」という声掛けに微笑みながらうなずいてくださいました。
翌日未明、急変の電話が入り、再びご自宅へ急行する途中、車のラジオで柳田邦男先生(ノンフィクション作家)が「人は"物語"を生きている」のお話をしていました。その中で柳田先生が亡くなられたご長男から贈られたサン=テグジュペリの「星の王子さま」の話をしておられました。
内容は
星の王子さまが星に帰っていくときに「夜になったら星を眺めておくれよ。僕んちはとってもちっぽけだから、どこに僕の星があるのか君に見せるわけにはいかないんだ。だけどそのほうがいいよ。君は僕の星を星のうちのどれか一つだと思って眺めるからね。 すると君はどの星も眺めるのが好きになるよ。星がみんな君の友達になるわけさ。」と告げます。「星の王子さま」はサン=テグジュペリが奥さんに残していった遺言なんです。(戦争に行く前に奥様に遺した絵本だそうです。) 自分は帰ってこないかもしれない、戦争だからどこ行っちゃうかわからない、でも満天の星のすべてがいとおしく思えるように僕がどこかにいるから、しかも笑っているからという、遺言なんですね。
というものでした。
これを聴きながら先生のお看取りに向かいました。前日、先生が私の声掛けに微笑んでくださったのを思いながら…
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