心の穴をそのままに
2017/11/21 Tue 23:06
先日、オレンジカフェという認知症サポートカフェでお話をさせていただきました。そこで私が20年来主治医をつとめ、最期も看取らせていただいた方のお話をしました。長いお付き合いでしたので、亡くなられてから本当に献身的に看病された娘様の事が気になり、四十九日の頃、私からお手紙をお出ししました。娘様からのお返事に「どんな形になっても、母に生きていてほしかった。認知症で、寝たきりで、いつまでも生きながらえて可愛そうだと思う人は多いでしょうけども、私は母さんを ほんの一ミリでも、暖かい状態で触りたい。よく、母さんのベッドに並んで寝た。小さい母さんを抱っこした。頭をゴシゴシなでた。お返しに撫でてもらった。生きている頃から、暖かい思い出が増えるのは、後の寂しさを増やすことなんだな、思っていたけれど、母さんがいない寂しさだったら、いくら増えても全部抱えていってもいいな、と、思います。」と書かれていました。私はこの娘様のお手紙が忘れられなく、今回の講演会でも話しました。翌日、その娘様がお風邪で当院を受診されました。私は久々に娘様にお会いできて本当にうれしかったです。(お風邪をひかれた娘様は大変ですが…。)私が「昨日、以前頂戴したお手紙のお話をしたんですよ」とお伝えすると、娘様が「母を亡くして悲しみで心に穴があいてしまった…。1年くらいはその穴を埋めようとしたけれど、今はその穴があいたままで生きています…」と話されました。
〈悲しみは亡き人の訪れ〉
心の穴は「悲しみ」だと思います。「穴があいたまま生きる」、それは悲しみを大切に生きること。それは「亡き人」と共に生きること。
この方の主治医をつとめさせていただき、本当にありがとうございました。
〈悲しみは亡き人の訪れ〉
心の穴は「悲しみ」だと思います。「穴があいたまま生きる」、それは悲しみを大切に生きること。それは「亡き人」と共に生きること。
この方の主治医をつとめさせていただき、本当にありがとうございました。
有度生涯交流学習館
2017/11/05 Sun 10:29
先日、有度生涯学習交流館でお話をさせていただきました。
「本当に幸せを求めて」と題して
「死を背景にしてこそ生の意味はあざやかになる」という神谷美恵子の言葉や
「この世に悲しみを負って生きている人がどれ程多く、その人たちにとり、死者は別れた後も長く共に生きている人々であることを、改めて深く考えさせられた」
という皇后陛下のお言葉を紹介しました。
お聞きくださった方の中に
「13年前に父を思い出しました。父はずっとそばにいると思っています」とおっしゃってくださる方がいらっしゃいました。
私は毎日、自分の外にばかり目を向け、一喜一憂しています。しかしわがままな私は、一喜一憂どころか一喜十憂位で苦しんでいます(笑)。でも、この方のように、自分の内面に、ずっとそばにいてくれる存在を見つけた方は、十喜一憂かもしれません。
自分の内面に幸せを探す…。
「本当に幸せを求めて」と題して
「死を背景にしてこそ生の意味はあざやかになる」という神谷美恵子の言葉や
「この世に悲しみを負って生きている人がどれ程多く、その人たちにとり、死者は別れた後も長く共に生きている人々であることを、改めて深く考えさせられた」
という皇后陛下のお言葉を紹介しました。
お聞きくださった方の中に
「13年前に父を思い出しました。父はずっとそばにいると思っています」とおっしゃってくださる方がいらっしゃいました。
私は毎日、自分の外にばかり目を向け、一喜一憂しています。しかしわがままな私は、一喜一憂どころか一喜十憂位で苦しんでいます(笑)。でも、この方のように、自分の内面に、ずっとそばにいてくれる存在を見つけた方は、十喜一憂かもしれません。
自分の内面に幸せを探す…。
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