苦海浄土

2016/12/08 Thu 20:23

最近テレビで「苦海浄土」という本を扱ったものをみました。「苦海浄土」は以前幾度か読もうと試みましたが、なかなか読み解けない本の一つです。しかしそのテレビの中で、「読み解けない本がむしろ本当に大切な本」というような言葉に出会いました。

長年寝たきりの奥様を看病されているご主人様のお話をお聴きしました。真剣に聴きましたが、「心が…」「大切な棒が折れてしまって・・・」という言葉が私の心に残りましたが、話が把握できません。

しかし、きっとこの話こそ大切なものなのではないでしょうか…。私のような上辺だけしか理解できない人間と違って、長年苦しみを抱えた方の本当のコトバ…。また聴き続けたいです。
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大好き…

2016/10/03 Mon 20:17

先日ある方をご自宅で看取らせていただきました。まだ60歳代の男性でしたが、がんの末期でたんぽぽ診療所においでくださりました。ご自宅へ往診する中で、お会いするたびに、「この方、良い人だな~」「もっと何度もお会いしたいな~」と思っていました。
しかし病状の進行は早く、いよいよ食事もとれなくなりました。少しでも生きていてほしいと思った私は、「延命かもしれないけど、ご入院しませんか?」と声をかけてしまいました。
しかしその方のお答は「延命はいらない。この自宅にいたい」というものでした。数日後、最期の時がやってきてしまいました。看取りに駆けつけ、「ご臨終です」と告げた私に、その方の奥様が「主人は先生の事が、本当に大好きでした…」とおっしゃってくださいました。私も「この方、良い人だな~。この人のこと大好きだな~」と思っていたので、奥様のお言葉が、亡きこの方から出てきたコトバのように思えています。
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愛する者の存在

2014/11/15 Sat 20:33

朝、陽が昇ろうとしている時に、ひとりの男性がこの世を去られました。その方の奥様がご遺体に縋り泣かれる姿に私も涙が止まりませんでした。わずかな期間しか診療することが許されずに最期の時が来てしまいました。でも良い人だった。良い人だった…。昨日までは話すことができたのに…。今、夜の空を見ながら、あの方はどこへ逝ってしまったのだろう…。

幾度も読み返す詩をご紹介します。

〈焼き場で骨を拾う時、(略)愛する者の存在が ただそこにある「もの」だけになってしまったとは どうしても思えない。遺された者の心は故人の姿を求めて、理性とは無関係にあてどもなく、宇宙のはてばてまで探しまわる。
今にも姿がつかまえられそうな、声がききとれそうな、そのぎりぎりのところまで行って むなしく戻ってくるくやしさ。〉
(神谷美恵子 「生きがいについて」p105)
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この世の去り方

2014/09/25 Thu 20:35

ある方を看取りました。
癌の末期で在宅ホスピスケアをさせていただきました。と言っても、何も訴えられず、いつも静かに微笑んでおられました。初夏の頃は、娘さんの買ってこられた「稲荷寿司」を喜んで食べていました。

次第に病状が進行した8月は、やはり娘さんが作られた「かき氷」を食べながら高校野球をテレビで見ておられました。
しかし9月に入ると最期の時が近づいてしまいました。
最期は静かに訪れました。
最期まで何もおっしゃられず、静かに微笑んで…。

何も私には訴えられませんでしたが、「こうしてこの世を去るんだよ」と教えていただきました。
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石飛幸三先生

2014/05/25 Sun 20:36

 「平穏死」第2弾ですが本日は泉の会25周年で、特別養護老人ホーム蘆花ホームの石飛幸三先生を清水のマリナートにお招きいたしました。石飛先生のご講演は感動的で皆さん涙なしには聴くことのできないものでした。そして私は先だって1時間余ほど控室で石飛先生とお話をすることができました。石飛先生はご自身のお父様の事を語ってくださいました。(詳しくは石飛先生のご本「平穏死という選択」をお読みください)「自分が死んだら、亡き父とあの世でまた会っていろいろ話ができる。それが楽しみ。そのような事が本当の宗教心ではないか」と。石飛先生の暖かいお人柄、ゆっくりとした口調に本当に私が癒されました。またぜひ石飛先生をお呼びしたいです。
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